わたしの来た道 vol.03 (原 和弘)

グローバル化時代の医師像を求めて

私は1980年に当三井記念病院に内科の初期研修医として採用され以来、約30年近く在職しています。優れた指導者と出会う度に新たな視野が拓かれ、研鑽を積む機会に恵まれました。また多くの先輩や後輩と相互に切磋琢磨したことで飛躍の扉が開かれました。

循環器病学の研究者を志望していたこともあり、1982年から町井潔循環器センター内科部長のもとで心エコー図を学び始めました。町井先生は『断層心エコー図』の著者であり、回診では入院中の全症例のエコー所見を記憶する一方で、Mモードエコーの計測値の1mmの差もおろそかにしない姿勢を貫いておられました。さらに病理所見や手術所見を参考にして繰り返しデータを検証することを教え込まれました。当時の先輩や同僚の先生方は循環器病学の研究者や教育者となって、大学で活躍しておられます。同年に山口徹先生が循環器センター内科科長として赴任され、PTCA(経皮的冠動脈形成術)を始められました。山口先生の情熱あふれる陣頭指揮のもとで、カテーテル室の整備やカテーテル手技、診療プロトコールの確立など、現在に至る三井記念病院の虚血性心疾患診療の基礎はこの時代に作られました。

 

1990年にカナダのトロント大学に留学しました。循環生理学的な研究をしていたJohn Floras先生の研究室に所属して、臨床研究について懇切丁寧な指導を受けました。AHA(アメリカ心臓協会)を含めた海外の学会発表を通じて、さまざまな領域の最先端の研究に刺激を受けました。トロント病院のPTCAフェローとしてBARI研究に参加しました。指導医のLeonard Schwartz博士は「PTCAにおけるアスピリンとジピリダモールの比較試験」( New England Journal of Medicine)の主任研究員でしたので、「PCI (経皮的カテーテルインターベンション)における抗血小板薬の有用性」の関心が三井記念病院での臨床研究につながりました。

1992年9月に循環器センター内科科長としての職位を得て帰国しました。田村勤循環器センター内科部長は部下を信頼して多くを任せてくださる上司でしたので、自由闊達な雰囲気の中で臨床研究に着手することができました。データの収集に2年を要したものの、1996年のAHAで「PCI後のシロスタゾール投与が血管造影上のloss indexを減少させる」という成果を報告できました。この研究に従事した多くのレジデントが大学の指導者となって活躍中であることは最も大きな収穫であるといえます。

2013年1月から内科上席部長を拝命いたしました。内科診療活動のさらなる発展とともに、日本の医療の担い手となる若手医師の教育に全力を注ぎたいと思います。グローバル化が急速に進む時代にあって、多様な背景をもつ患者を真摯に診ることができる医師の育成に努めたいと思います。新薬の臨床導入も国際共同治験の時代となり、最先端の診療技術の開発がグローバルに進む中で「臨床研究者としてはどのように研鑽を積み、得られたデータを世界に向けて発信してゆくのか」といった課題に挑戦し、着実に実践できる組織創りに専心したいと考えております。日本の医療の質を高めていくためにも、三井記念病院の皆さんとともに、グローバル化時代にふさわしい医師像を求めたいと思います。

出典:三井記念病院広報誌『ともに生きる』「智情意」(Vol.05、2013年2月1日発行、三井記念病院 広報部)

関連リンク

原 和弘 (副院長・内科 部長)

原 和弘副院長・内科 部長

1992年
三井記念病院 循環器センター 内科 科長
2000年
循環器内科 部長
2012年
内科 部長(兼任)
2013年
内科 上席部長
2014年
副院長
内科 部長(兼任)
学会認定
日本内科学会認定施設における日本内科学会認定医制度の研修指導医
日本心血管インターベンション治療学会認定名誉専門医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
日本内科学会認定内科医
日本医師会認定産業医
専門分野
冠動脈および末梢動脈インターベンション
デバイス治療
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