すすむ医療 HoLEP ホルミウムレーザー前立腺核出術

前立腺肥大症は、症状が中等症以上に進行している場合や、薬物療法が長期にわたり徐々に症状が進行した場合には手術療法が選択されます。高齢者人口の増加に伴い前立腺肥大症の患者さんも増加傾向にあることを背景に、手術療法はより低侵襲なものに進化してきました。

「三井記念病院は、前立腺肥大症に対して2種類の手術療法をおこなっています。まず、従来から行っているTURP(経尿道的前立腺切除術)です。この術式は内視鏡を使い電気メスで尿道の内側から前立腺を削り取るもので、前立腺の重量が約30g以下の比較的肥大が軽度の患者さんが対象となります。

もう一つの術式は、三井記念病院が2011年に導入したHoLEP(ホルミウムレーザー前立腺核出術)です。HoLEPは、TURPが電気メスで少しずつ“削る”のに対し、レーザー照射で内腺を“くり抜く”ように核出する手術です。こちらは、前立腺重量が約30g以上の中程度以上に肥大している患者さんが対象となります。

HoLEPの利点は、少しずつ削り取るより出血や痛みなどの合併症が少なく、また肥大した内腺を外腺から切り離すので、前立腺組織が残らないため再発を抑制できると言われています。更に、術後のカテーテル留置期間や入院期間も短縮できると言われています。

ただし、メスで“少しずつ”ではなく、レーザーで“一気”にくり抜くため、手元を誤ると括約筋や外腺を傷つける危険性があり、経験を積んだ術者の正確な手技が必要となります。  また、HoLEPは導入後、急速に広まりつつありますが、まだ日が浅いため、HoLEP手術を受けた患者さんが5年後、10年後どのような経過をたどったかというデータが不十分です。レーザー機器そのものも高額であるため、スタンダードな術式になるまでは、もう少し時間がかかると思います。

三井記念病院では、患者さんの前立腺重量やこれまでの治療経緯などを考慮し、TURPとHoLEPのどちらがこの患者さんにより適切かを判断し、術式を選択しています。

前立腺肥大症は、高齢者に多い病気です。高齢の場合は前立腺だけではなく体の別の部分に疾患を抱えておられる場合がほとんどです。当院は総合病院のため、他の診療科との連携がありますので、ご不安に思われている点は遠慮なくご相談いただければと思います。

HoLEP

内視鏡を尿道から通し、レーザーファイバーを内腺と外腺の境目にあてる。先端から出るレーザー光で、内腺をくり抜く。
内腺を実、外腺を皮に例えると、皮から実を剥がすように切除する。実(内腺)から果汁(血液)があまりでない。

TURP

内視鏡を尿道から通して、電気メスで尿道側から前立腺を少しずつ切り取る。

出典:三井記念病院広報誌『ともに生きる』(Vol.10、2014年4月22日発行、三井記念病院 広報部)

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 飯田  勝之 ( 泌尿器科 科長)

飯田 勝之 泌尿器科 科長

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