医療最前線 C型肝炎

1.C型肝炎とは?

慢性肝炎や肝硬変になる原因の中で最も多いのはC型肝炎です。日本にはC型肝炎ウイルスの陽性者が約150万人いると推定されています。輸血による感染からキャリア(C型肝炎ウイルスの保持者)になった方が多く65才以上の方の占める割合は約54%と高齢化しています。

C型肝炎ウイルス陽性で慢性肝炎の方の約半数は、肝硬変に進行し、さらに肝硬変になった方の半分以上が肝臓がんを発症すると言われてきました。肝硬変および肝臓がんの原因の約70%がC型肝炎によるものです。

2.これまでの治療法は?

インターフェロンによる治療が1990年代の初めから行われましたが、著効率(ウイルスを完全に追い出す率)は低く2005年頃にやっと40~45%台、今から3年前に導入されたプロテアーゼ阻害薬との併用で75~90%程度でした。インターフェロン治療では副作用が強く、ご高齢の患者さんや肝硬変症の方は治療の対象になりえませんでした。それでも高い効果を得た患者さんでは肝臓病の進行が食い止められ、発がん率も著しく低下することが証明されました。

3.新しい治療法、インターフェロンフリー治療とは?

インターフェロンを用いない経口の抗ウイルス薬(飲み薬)が2014年9月に登場しました。ダグラタスビルとアスナプレビルの2剤を用いた治療です。薬剤に対する耐性変異のない症例を選択して投与することで90%を超える著効率が実現されました。

そして今年9月にはレジパスビル+ソホスブビルの合剤(ハーボニー)が発売されました。この薬は日本の治験で著効率100%という成績で副作用もとても軽いという優れた薬です。進んだ肝硬変症例や腎機能が著しく低下した患者さんには使えませんが、適応さえ守れば高齢の患者さんでも安心して治療して頂けます。当院ではこの1カ月半で約50例の患者さんに投与を開始しています。いまや経口抗ウイルス薬でC型肝炎ウイルスを撲滅する時代が始まっています。

4.治療の課題は?

150万人のC型肝炎ウイルスキャリアのうち、感染していることを知らない方は50%程度いるのではないかという推計があります。検診を受けていない方は肝機能検査(+ウイルス検査)をぜひ受けてください。検診で肝機能の数値に少しでも異常があれば病院やクリニックを受診し、ウイルス陽性の場合は当院のような肝臓専門医のいる病院を受診してください。C型肝炎の場合はウイルスを追い出す治療が可能になりました。ぜひ、このチャンスを逃さず治療を受けて頂きたいと思います。

出典:『三友新聞』(2015年11月12日発行、三友新聞社)

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田川 一海 (特別顧問)

田川 一海特別顧問

1973年
東京大学医学部 卒業
東京大学医学部附属病院 研修医
1975年
三井記念病院 内科
1978年
東京大学医学部附属病院 物療内科
1980年
三井記念病院 消化器内科
1997年
消化器内科 部長
2001年
副院長
2017年
特別顧問
学会認定
日本内科学会認定施設における日本内科学会認定医制度の研修医の指導医
日本超音波医学会認定超音波専門医・指導医(消化器)
日本消化器内視鏡学会認定指導医
日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医
日本消化器病学会認定施設における指導医
日本消化器病学会認定消化器病専門医
日本肝臓学会認定肝臓専門医
日本医師会認定産業医
日本内科学会認定内科医
専門分野
消化器病全般
慢性肝炎
肝硬変
肝癌の診断と治療
食道静脈瘤の内視鏡的治療
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