すすむ医療 NS5A阻害剤(レジパスビル)とNS5B阻害剤(ソホスブビル)の併用治療「ハーボニー配合錠」

ハーボニー配合錠は、これまでのインターフェロンと飲み薬を併用した治療ではなく、飲み薬だけでC型肝炎ウイルスを体内から排除することが期待できる薬です。1日1回1錠、12週間(3か月間)服用を続けます。国内の臨床試験では、ハーボニー配合錠を服用後、ウイルスが排除された状態を保てた患者さんの割合は100%、海外の臨床試験では、98.6%と優れた治療効果を示しています。

ハーボニー配合錠は、C型肝炎ウイルスが増えるために必要なタンパク質のうち、NS5AとNS5Bポリメラーゼという2種類のタンパク質の働きを抑えるレジパスビルとソホスブビルという2種類の薬が一つになった薬です。特に、NS5Bポリメラーゼは、C型肝炎ウイルスの増殖に重要なタンパク質と考えられているため、このNS5Bポリメラーゼに直接作用する薬であるソホスブビルが配合されているハーボニー配合錠は、強力にC型肝炎ウイルスの増殖を抑制し、効果を発揮します。

ただし現時点では、ハーボニー配合錠で治療した方の肝がんの発生を抑制したというデータはありません。高い割合でC型肝炎ウイルスを体内から排除することが実証されているため、この数字からは肝硬変、肝がんへ進行することを抑制できるという考えが導き出せますが、まだこの薬が使用されるようになってから間もないため、10年から30年という進行が遅い肝がんでは、ハーボニー配合錠の服用で実際に肝がんにならないということを、まだデータでは示せないということです。

ハーボニー配合錠の服用期間は12週間ですが、その後24週間はC型肝炎ウイルスが体内から排除されたかどうかを主治医と共に経過を観察する期間となるため、服用期間後も定期的に通院し、確認する必要があります。

また、高い治療効果が期待できる薬ですが、それは毎日忘れずに服用を続ける事で発揮されます。飲み忘れると、血液中の薬の濃度が下がり、ウイルスの排除が難しくなるため注意しなければいけません。

その他、ハーボニー配合錠には一緒に服用できない薬やサプリメントもあるため、服用する前に必ず医師または薬剤師に現在服用している薬やサプリメントを伝え、ご相談ください。

飛躍的に進化してきたC型肝炎の治療ですが、今後はさらに服用期間が短い薬の登場が期待されています。また現在はC型肝炎ウイルスのタイプによって治療薬が異なっていますが、将来的に1つの薬剤でC型肝炎ウイルスのすべてのタイプに効果が出せるよう治療薬の開発が進められています。

長径:20mm
短径:10mm

厚さ:6.6mm
重さ:1,030mg

出典:三井記念病院広報誌『ともに生きる』(Vol.17、2016年1月22日発行、三井記念病院 広報部)/cite>

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青木 一夫 (薬剤部 医薬品情報室 マネージャー)

青木 一夫薬剤部 医薬品情報室 マネージャー

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