女性の悩みに向き合う診療科―ウロギネコロジーとは

ウロギネコロジーとは

ウロギネコロジーの診療内容を日本語にすると「骨盤底婦人科学」となります。主に産婦人科医が女性の骨盤底に特有な臓器の変形や垂れ下がり、膀胱・尿道の不具合を診る領域です。海外では、地域や組織により、ウロギネコロジーの外来で出産による肛門の不具合も診療しています。

ウロギネコロジーの歴史的背景

ウロギネコロジーは第一次大戦の起きた1914年頃にヨーロッパで盛んになりました。どの国でも若い男性が戦場に駆り出され、女性も労働力として外で働く必要が出てきました。女性が外に出るようになってから、出産後の子宮脱(骨盤臓器脱とは―臓器が膣の中から落ちてくる病気)や下部尿路症状(=膀胱・尿道の不具合や異変)などを治療する必要があるという世の中になってきたのです。それ以前は、これらの女性特有の不具合は「出産の置き土産」、「子供を産んだら仕方がないこと」という考え方がほとんどで、長いスカートで隠しながら暮らしていた時代でした。女性の社会参加とともに、1910年代にはシャネルスーツの登場などファッションにも大きな変化がありました。こうして、ウロギネコロジーという医学へのニーズが高まっていったのです。

ウロギネコロジーの三大主要疾患

ウロギネコロジーの分野では、下部尿路症状・骨盤臓器脱・便失禁が三大主要疾病といえます。男性と異なり、女性には骨盤の真ん中に腟の通路があり、そこから胎児が生まれてくるという仕組になっています。進化の方向としては、当然のことながら胎児の通過を有利にする条件が蓄積されて来ましたし、また、出産の際に骨盤の出口を締めている支持組織(骨盤底)が強く引き伸ばされることで、骨盤底が損傷され、骨盤臓器(膀胱・尿道、直腸・肛門)の働きにも異変が起こることがあります。

ウロギネコロジーの今後の展望

骨盤底の損傷は、将来のQOL(生活の質)や活動能力に大きく影響しますが、出産時は骨盤底損傷についてなかなか考えることが難しい場合もあります。出産では子供の低酸素性障害や母体の大量出血を防ぐことが何よりも優先されるからです。骨盤底の損傷による不具合は手術などで治療できる可能性もあるため、第3番目に考えるべき事項になってくるのではないでしょうか。しかし現在は、40歳前後の方が不妊治療を受けて出産するなど、高齢出産が増えています。高齢出産では若い女性に比べ骨盤底のダメージが大きくなる傾向があるため、ウロギネコロジーの重要性は今後増していくのではないでしょうか。

繰り返しになりますが、妊娠中の健康管理、出産、子育てなど様々な準備や危険がある中で、出産にともなう骨盤底の損傷についてまでは、なかなか考えることが難しいかもしれません。しかし、骨盤底は妊娠出産からみても重要な役割を持っており、骨盤底を損傷してしまうと、尿もれや子宮脱だけではなく、次の妊娠で早産しやすくなるなどの問題も起こってきます。なるべく骨盤底を傷つけないようにするということを頭の片隅においておき、無理のない出産をされるとよいでしょう。

出典:「メディカルノート」

 中田  真木 (産婦人科 医長)

中田 真木産婦人科 医長

1981年
東京大学医学部 卒業
東京大学医学部附属病院 産科婦人科 研修医
1983年
東京大学医学部 産科婦人科学教室
1986年
東京大学医学部 産科婦人科学教室 助手
1989年
総理府技官
1991年
フランス政府給費留学生 パリ第5大学
1995年
東京警察病院 産婦人科 医幹
2002年
三井記念病院 産婦人科 医長
学会認定
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・指導医
日本女性医学学会認定医師・女性ヘルスケア専門医
母体保護法第14条指定医
日本排尿機能学会認定医
日本女性骨盤底医学会 経膣メッシュ手術認定医
専門分野
ウネギネコロジー
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