医療最前線 糖尿病

1.糖尿病とは

血糖値の正常値は、空腹時で70~110mg/dl(セブンイレブンと覚える方法も)、食後でも140mg/dl以下です。糖尿病とは慢性的な高血糖が続く状態で、放置すると特有の合併症を起こしたり、動脈硬化が進みやすくなったりするのが問題です。

糖尿病の有病率は、男性で15~16%、女性で8~9%程度で推移しており、国民全体ではここ10年ほど横ばいです。ただし男女ともに加齢と共に増加し、男性は40歳台では6%程度ですが50歳台で12%、60歳以上で20%以上に有病率が増加。女性では60歳を超えると有病率が10%を上回ります。

ほとんどの糖尿病は2型糖尿病といって、食べ過ぎ・運動不足で起こる生活習慣病で、肥満を伴うことも多いです。しかし、典型的には若年で急性発症する1型糖尿病や、肝疾患や膵疾患に続発しておきる糖尿病、あるいはステロイドという薬剤の副作用として起きる糖尿病などもあります。

2.糖尿病に伴う合併症とは?

三大合併症と言われる眼、神経(おもに知覚神経)、腎臓の合併症があります。糖尿病を放置するとそれぞれ失明、足壊疽、腎不全による透析を要する状態につながる危険があります。

3.治療法は?

食事療法、運動療法が基本です。三度の食事をバランスよく食べる、砂糖を控える(ジュースや菓子類など)。夜遅く食事(特に炭水化物)を取らない、早食いをしない。蛋白質は肉だけでなく、魚や大豆蛋白もしっかり摂取する。野菜は1日300g食べるのが目標。理想的な間食は、1日1回だけフルーツ200g(ほぼ握りこぶし大)と牛乳か無糖のヨーグルトを180ml頂く事で、それ以外の間食を原則控えます。運動は、有酸素運動(ウォーキングなど)が基本で、6000~1万歩が目標。10分の歩行が概ね1000歩に相当します。年齢が上がるほど、無酸素運動(軽い筋トレなど)も有効です。

食事や運動に気をつけても改善しない場合、薬物療法を併用します。内服薬が7系統、注射薬が2系統(インスリンとインクレチン)あります。病状に合わせて選びます。

4.検査方法は?

採血検査で血糖値やHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー=血糖値の月間成績をあらわす)を測定するのが基本です。尿検査で糖や蛋白が出ていないかをチェックします。

5.予防法は?

検診を受診し、異常値が出たらすぐに対処しましょう。糖尿病は大部分が体重増加に続発して発症します。体重に増加傾向が見られたら、生活習慣を見直す必要があります。特に男性は週に2回は休肝日を作るなど、アルコールを取りすぎないような注意も大事です。

出典:『三友新聞』(2016年4月28日発行、三友新聞社)

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五十川 陽洋 (糖尿病代謝内科 部長)

五十川 陽洋糖尿病代謝内科 部長

1995年
東京大学医学部 卒業
2003年
三井記念病院 内科
2005年
糖尿病代謝内科 医長
2008年
糖尿病内科 科長
2011年
糖尿病代謝内科 部長
学会認定
日本内科学会認定総合内科専門医・指導医
日本糖尿病学会認定専門医・指導医
専門分野
一般内科
糖尿病
内分泌
代謝
栄養
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