がんサポート 治療決定までの判断過程の透明化を組織としてどう保障するか

常に何が患者にベストかを考える

当院のがん患者の特徴は、高齢者が多いことです。70歳以上が44.4%を占めており、都内のがん診療連携拠点病院の平均37.4%と比べてもその多さがわかります。60歳、70歳の患者さんはまだまだ若いのです。

治療は、常に何が患者さんのベストになるかを考えて行っています。私は外科医なので、がん病巣を完全に取り切るのが最大の目的になります。しかし、どこまでやるのがベストなのかを考えることも必要です。ケースによっては併存症に見合った、手控えた治療も必要です。大切なのは、バランスです。

先日、85歳の大腸がんの男性が腸閉塞になって入院しました。心臓にも疾患があり、かなりシビアな状態でした。ステントを挿入して腸閉塞を改善したあとに、大動脈弁狭窄を治療し、全身状態が良くなってからがん手術をしました。各診療科が協力して、戦略を立てて対応した典型的な例です。

認知機能が低下したがん患者さんにどう対応するかも大きな課題です。他病院で「認知症の患者は診ない」と断られ、地域の診療所を経てここに来た患者さんがいました。本人は事態を理解できないし、意思を持って治療を受ける、受けないを決められません。このようなときは精神科に受診してもらい、患者の意思決定能力の査定を行います。

がん治療推進のハブの役割を強化

キャンサーボードでは治療の妥当性を検証。さらに法律家も入る医療倫理コンサルテーションで認知症のある患者さんの最善について検討します。医師の個人的裁量で決めるのではなく、判断の過程を透明化させ、組織としての患者の権利や尊厳を保障する体制を整備しました。

みんなで考える一連の過程は、若い医師たちの教育の意味もあります。治療決定の過程をオープンにして認知症だから、高齢だから、という理由で治療しないということはありません。これからも各科の強みを生かせるように、がん治療を推進するハブの役割を強化していきたいと思います。

出典:「がんサポートWEB」 https://gansupport.jp/

関連リンク

 

小林 隆 (消化器外科 部長・がん診療センター センター長)

小林 隆消化器外科 部長・がん診療センター センター長

1992年
東京大学医学部 卒業
東京大学医学部附属病院 外科 研修医
1993年
社会保険中央総合病院 外科
1995年
東京大学医学部 肝胆膵外科・人工臓器移植外科
1998年
竹田綜合病院 外科
1999年
東京大学医学部 肝胆膵外科・人工臓器移植外科
2002年
公立昭和病院 外科
2011年
都立広尾病院 外科
2013年
三井記念病院 消化器外科 科長
2014年
消化器外科 部長
2015年
がん診療センター センター長(兼任)
学会認定
日本外科学会認定医・専門医・指導医
日本消化器外科学会認定消化器外科専門医・指導医
日本消化器外科学会認定消化器がん外科治療認定医
日本肝胆膵外科学会認定肝胆膵外科高度技能指導医
ICD制度協議会認定インフェクションコントロールドクター(ICD)
専門分野
消化器外科
腫瘍外科(特に肝胆膵外科)
  • 三井記念病院TOPページヘ
  • 求人一覧
  • お問い合わせ

ページの先頭へ