恵まれた環境で思う存分、実力をつけ、実力を発揮
外科専門医資格をとるのに十二分な症例数
当院の外科は、大外科体制をとっており、消化器外科や呼吸器外科、心臓血管外科などの診療科を全部集めて、外科全体でカンファレンスや会議、新人歓迎会や忘年会などを開催します。たいへんな大所帯ですが、外科全体での交流があるので、診療科を超えて風通しが良く、それぞれの診療科をまたぐような治療をするなどの場合もきわめてスムーズです。
大外科のほかにも、当院の外科には、伝統と言える教育の体制があります。一般的には2年の初期研修と、その後の後期研修とに分かれて教育が行われますが、当院では、卒後5年間で一貫して外科の教育を行う体制が確立しており、総合的な能力を養えるとともに、外科の専門医資格を取得する実力を身につけられます。
外科専門医資格の取得といえば、決められた手術の執刀数が求められますが、当院の標準的なプログラムでは、5年間で執刀120症例、助手などでの参加350症例が可能です。ただ、実際にはそれ以上の手術を経験でき、去年の5年目の医師の実績を調べてみると、おおよそ執刀200症例、助手300症例で、5年間で合計約500症例の手術にたずさわっていました。外科専門医資格をとるには、十二分な症例数です。
手を出すと必要な道具を渡してくれる看護師
手術をする環境は、身びいきかもしれませんが、すばらしいと感じています。2009年に新病棟ができたとき、ハイブリッド手術室がつくられました。手術をしながら、血管造影ができ、放射線の透視を使った治療も可能な手術室です。近年、新しい病院を建てるところはハイブリッド手術室にするところが多く、それほど珍しくはなくなってきているものの、いち早くとり入れたおかげで、先進的な手術を早期に導入することができました。
もうひとつ手術環境で忘れてはならないのが、看護師の能力の高さです。直接介助、いわゆる機械出しについては、手術の手順を頭に叩き込んでパートナーを務めてくれます。私は、当院の先輩に「困ったら手を出せ」と教わりました。確かに、何も言わずに手を出すと必要な道具を渡してくれる――。恵まれた環境で手術をさせてもらっていることを実感します。
国内だけでなく、海外の学会への参加も推奨
もちろん、アカデミックな活動も充実しています。
大外科体制のもと、毎週抄読会が開かれ、最新のガイドラインや新しい治験などについてスタッフや研修医が自主的に発表し合うような場があります。
また、研修医には、5年間の間に最低1回は学会発表をするよう指導していますが、だいたい平均して3回程度の学会発表を行っています。研修医の意欲の高さの表れであり、しっかりしたスタッフからの援護の結果でもあるでしょう。病院からの学会発表に関する金銭的な補助は、年間6回まで、交通費、宿泊費を補助するというもの。これも学会発表を促す大きな要因となっています。
当院では、さらに、国内の学会だけでなく、海外の学会への参加も推奨しており、最近では約2週間を目安に、4年目、5年目の研修医が海を渡っています。海外の学会の雰囲気に触れるだけでも、大きな刺激になっているようです。
手術や学会発表の準備などに専念できる環境
外科は、よく、労働時間が長く、仕事が多く、家庭や自分の時間を犠牲にして働かなければならない過酷さが強調されますが、それでは外科医のなり手がいなくなってしまいますし、よい治療はできません。そこで、医師支援部の応援を仰ぐことにしました。
医師の仕事のサポートをする医師支援部が設置されたのを機に、書類の下書きやデータベースづくりのための入力作業などの事務作業を同部にお願いし、医師が手術や学会発表の準備などに専念できる環境を整うことができました。その甲斐あって、多くの医師から「働きやすくなっている」との声が届き始めています。
さて、当院の外科について、さまざまな角度からご紹介させていただきましたが、いかがだったでしょうか。少しでも興味を持たれた方は、ぜひ、気軽に見学に来てください。書き切れなかったアピール点が、まだまだあります。