三井記念病院の循環器内科の教育がすごい!

初期研修から、つづけて後期研修も三井記念病院に残った理由は?

堀内 本日は、卒後5年目の後期研修医3人に集まってもらい、チーフレジデントの私が司会となり、三井記念病院の研修などに関して話していきたいと思います。

まず3人は、ともに初期研修を当院で行っています。2年目が終わって後期研修を迎えるとき、他の病院に行く選択肢もあったはずですが、どうして当院を選んだのでしょうか。

奥野 大学に戻った場合を想像すると、早い段階でいったん大学院に入り、臨床から離れてしまうため、若く体力のある間にどれだけ臨床経験が積めるかという点で不安がありました。また、ほかの市中病院も考えはしましたが、カテーテル手技も含めた十分な臨床の研鑽を積め、かつ臨床研究や学会活動にも積極的に参加でき、将来的には留学、研究という選択肢もとることができるところは当院以外にないとの結論に達して残りました。

布施 私は、初期研修先を選ぶときから、循環器で有名な病院に行き、後期研修もつづけて受けたいと思っていました。当院の循環器内科は歴史もあって、有名なOBの先生方が国内外で活躍されています。実際、初期研修を受けてみると、臨床能力のきわめて高い先生方が指導をしてくださり、すばらしい環境で、迷わず後期研修も当院を選択しました。

佐藤 私の出身大の帝京大学の循環器内科の先生方は三井出身者がかなり多く、5年上の先輩にどんな病院か話をお聞きし、三井しかないと思って初期研修先に選びました。実は、最初から後期研修も同じ病院でと決めていました。とは言うものの、途中でブレるかもしれないとも思っていたのですが、たいへん恵まれた環境で、既定路線で当院を後期研修先に決めました。

堀内 私は初期研修を聖路加国際病院で行いました。研修内容に満足はしていましたが、3年目に環境の変化も必要かなと感じ、大学病院と東京都内の市中病院を見学してまわりました。当院を選んだのは、レジデントの採用数が多く、手技にも積極的にたずさわれるほか、後期研修後には、大学に戻ったり、留学したり、別の施設に行くなど、進路の幅があったところにひかれたからです。

卒後5年目、後期研修の感想は?

堀内 後期研修がスタートして2年半ほどたちますが、振り返ってみて感想を聞かせてください。

布施 一般内科の医師としての外来が始まる一方で、循環器内科の検査がドンといっぱい来て――。はじめは毎日、日々のそういった業務を消化するだけでも精一杯。循環器内科はどこでも同じかもしれませんが、帰れない日も少なくありませんでした。

あっという間に1年が終わり、下の学年が入ってきたときに、上の学年の先生たちから「これからは指導もしっかり頼むね」と言われ――。どうなることかと思ったのですが、指導することによって自分の成長が見えるようになり、辛いけれど、1日、1日が、すごく充実していて、我ながらがんばっているなと思えるようになりました。

また、最近では先進的な「経カテーテル大動脈弁換術(TAVI)」にも積極的にたずさわらせてもらっています。たぶん他の病院ではないことではないでしょうか。

奥野 期待どおり、順調に経験を積ませてもらっています。一般的な循環器疾患の病棟、外来診療を経験しつつ、4年目では、冠動脈造影検査やペースメーカーの手術を一通り一人で完結してできるようになり、5年目になった今は、まず待機症例の経皮的冠動脈形成術(PCI)の術者をやり始め、徐々に夜間の緊急治療も行えるようになってきています。学会活動に関しても、少しずつ始めており、今後は先輩方に指導していただきつつ、積極的に経験を増やしたいと思っています。

佐藤 カテーテル以外にも、心臓MRIや高性能な320列CTの撮影や読影までさせていただいています。

循環器疾患の患者さんは、別の疾患を持っている方も多く、トータルなマネジメント能力が求められるのですが、そこは大学病院とは違って市中病院のよいところで、診療科の垣根が低く、整形外科や泌尿器科など、内科とまったく関わりのない科に相談しに行っても、親身に指導していただけます。循環器の治療以外の部分でも、成長できている自分を感じます。

堀内 当院の後期研修の内容をざっと説明しますと、3年目で一般内科の病棟業務と循環器の一般診療を行うとともに、カテーテル検査を手がけ始めます。4年目で一気にカテーテルの件数が増え、一般的な造影検査はひとりでできるようになります。同時に、カテーテル治療にも助手で入るようになり、5年目からカテーテル治療を行うようになります。ステップアップするための目安は、造影検査150件で治療の助手に入るようになり、治療の経験をつみながら造影検査300件を経験すると、カテーテル治療をやり始めるといった具合です。

私は、カテーテル治療を行い出してから3年が経ちますが、治療は200件を超え、CVIT(一般社団法人 日本心血管インターベンション治療学会)の認定医の取得をめざしています。その他にも急性・慢性心不全や肺梗塞、大動脈解離などの主たる循環器疾患は十分に経験できますし、TAVIにも積極的に取り組んでいます。冠動脈CTや心臓MRIなどの画像診断も充実しており、学会・論文発表も行っています。

資格に関しては、順調にいけば、4年目に内科認定医がとれ、7年目で内科専門医が取得できます。8年目の私は、今年、循環器内科の専門医資格に挑む予定です。資格の取得はスムーズにできます。

今後チャレンジしたいこと、達成したい目標は?

堀内 最後に、今後チャレンジしていきたいこと、目標などを教えてください。

佐藤 5年目でこれだけ自分の裁量でカテーテル治療ができるというのは特殊な環境です。その経験を持ってして、まずはひとりで心筋梗塞の患者さんを救えるようになることが目標ですね。

もちろん、学会活動にも興味があります。今までは症例報告しかしたことがないので、ここ1~2年で臨床研究での学会発表ができるようになりたいと思っています。

奥野 この座談会を読んでくださる方は、たぶん医局に入らないという選択を現時点で取ろうとしている人たちなのではないかと推察します。入局していないと、将来の就職先やキャリアパスを自分で考えなくてはなりません。それにあたっては、先ほど堀内先生の話にもあった通り、適切な資格を有していることが一つの重要なポイントになると思います。そのため今後は、内科専門医、循環器内科専門医、できればカテーテル治療の専門医資格を順調に取っていきたいですね。

その後は、多くの先輩方が留学して新たな経験を積まれていますが、可能なら私もそれにならって留学をしたいと考えています。

布施 私は家庭も充実していまして、おかげさまで2人の子どもがおり、「かっこいいパパ」が目標です。

そのためには、仕事をやりがいを持ってがんばる以外にありません。まずは、循環器内科の基本技能をしっかり覚え、そのうえで学会活動や論文執筆もできればと思っています。

堀内 3年目の最初はすごく忙しいという話が出ましたが、学年が上がるにつれて、病棟の業務などはかなり軽減されてきますので、勉強や学会活動をする時間もかなり捻出できるようになります。3人の先生方には、それぞれの目標に向かって、迷わず進んでいってほしいですね。

私について申し上げれば、あと2年は勉強をさせていただき、カテーテルの経験を積んで、できる治療の幅を広げ、クオリティーを上げていきたいということがまずひとつですね。そして、先輩のサポートをいただきながら、主たる国際学会で発表し、論文にもまとめて、将来は、海外に勉強に行きたい。それが今の目標です。

本日は、忙しい中、集まっていただきありがとうございました。皆さんの本音の部分も聞くことができ、有意義な時間でした。

堀内 優 (循環器内科)

堀内 優循環器内科

布施 大望 (後期研修医・5年目)

布施 大望後期研修医・5年目

佐藤 優 (後期研修医・5年目)

佐藤 優後期研修医・5年目

奥野 泰史 (後期研修医・5年目)

奥野 泰史後期研修医・5年目

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