医療最前線 関節リウマチ

1.関節リウマチとは?

関節リウマチは、関節を包む滑膜組織の炎症が複数の関節に生じる疾患です。

患者数は膠原病疾患の中では最多で、罹患率は人口の0.5%です。10歳代から90歳代のいずれの世代でも発症することが特徴です。

原因は解明されておりませんが、遺伝的な要素もあり、自分が関節リウマチの場合、兄弟や子どもにも発症する確率は5%程度といわれております。

2.どのような症状が出ますか?

関節痛はすべての関節に起こりえます。必ずしも左右の関節に対称的に出現するわけではなく、片側性であったり、特に早朝では痛い関節が入れ代わり立ち代わり「流れるように」入れ替わっていくこともあります。痛みは夜中から明け方に一番強いと言われております。

3.検査方法は?

血液検査では「リウマチマーカー」であるリウマチ因子と抗CCP抗体、「炎症マーカー」であるCRP、血沈、MMP-3が大事です。この中でも抗CCP抗体は特に有用で、リウマチ患者の80%で陽性となります。

またこれが陽性の場合、ほぼ間違いなく、関節リウマチである、あるいは将来発症すると考えられております。

関節超音波は簡便な検査で、体中のほぼすべての関節の状況を体表から評価できます。「炎症マーカー」の上昇が認められない早期病変の検出、治療効果の判定、再燃予測、各関節の破壊予測など幅広い用途に用いられます。

4. 治療法は?

関節リウマチの治療はここ10年間で大きく進歩しました。

メソトレキサートはリウマチ治療の根幹をなしております。患者さんの6割程度が使用し、3割以上が寛解(疾患の進行が止まること)達成に成功しております。

生物学的製剤といわれているバイオテクノロジーを駆使して作られた薬剤は2003年に登場したインフリキシマブ(レミケード)を皮切りに、作用機序の異なる生物学的製剤が次々と開発され、実際に使用されており、多くの患者さんで、リウマチの症状を劇的に改善することに成功しております。当院でもリウマチ患者さんの30%で用いられ、多くの方は良好な結果を得ております。

5. 最後に

関節リウマチは早期診断、早期治療が肝要です。関節破壊は発症早期に一番進行します。思い当たる方は速やかに適切な検査を受け、適切なタイミングで適切な治療を受けることが望まれます。

出典:『三友新聞』(2016年10月13発行、三友新聞社)

関連リンク

鈴木 暁岳 (膠原病リウマチ内科 部長)

鈴木 暁岳膠原病リウマチ内科 部長

1995年
金沢大学医学部 卒業
1995年
日赤医療センター 内科 研修医
1997年
東京女子医科大学 第2病理学教室
2001年
長野県厚生連佐久総合病院 後期研修医(腎臓膠原病内科)
2004年
JR東京総合病院 神経血液内分泌内科
2005年
国立国際医療センター 膠原病科 臨床研修指導医
2008年
河北総合病院 内科(膠原病内科)
2010年
内科 副科長
2011年
内科 科長
2015年
三井記念病院 膠原病リウマチ内科 科長
2018年
膠原病リウマチ内科 部長
医師支援部 部長(兼任)
学会認定
日本内科学会認定総合内科専門医
日本リウマチ学会認定リウマチ専門医
専門分野
膠原病全般
関節リウマチ
関節超音波
膠原病肺
膠原病病理
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