私たちが三井記念病院の消化器外科を支えています

「後期研修先」で迷っている研修医の皆さん、「紹介先」を探している開業の医師に向けて、三井記念病院の消化器外科の真髄を知っていただきたく消化器外科4名の先生方による対談を企画しました。一般患者さんにも参考になる内容になっています。

レジデント教育

小林
僕は、教えるという言葉は、もともとあまり好きではありません。レジデントといえども、医師免許を持ち、給料をもらっている一人前の医師。ですから、teachではなくcoachする気持ちで、同じ目標に向かって「こうしたらいいんじゃないか」、「ああしたらいいんじゃないか」と話し合いながら気づいてもらうように接しています。とはいえ、年齢は僕よりかなり下ですから、息子、娘を育てる感じで接するようにしています。

平田
ちょっと細かいのですが、手術で「変な悪い癖」がある場合には、見過ごさずに丁寧に説明をします。具体的には道具の持ち方。手術道具には、かたちに合った基本的な持ち方がある。その道具が、どんなふうに持たれることを想定してつくられているかをまったく無視して持ってしまうと、不自然な、あるいは窮屈な姿勢になり、手術の結果にも悪影響を及ぼします。「なぜ、右側を向いて曲がっているのか」、「なぜ、そこにギザギザがあるのか」――決して面倒がらずに話をします。


食道疾患は症例数も少なく、一般外科でも経験する機会が少ないので、もし、食道疾患を持つ患者さんの診療にあたったとき、見逃しが無いよう、その特殊性をできるだけ伝授したいと思っています。また、平田先生からもご指摘がありましたが、私も機械の持ち方については、せっかく同じ釜の飯を食べる仲なのですから、基本から教えていこうという姿勢です。

南村
僕は最初、心臓血管外科をめざして当院のレジデントに応募しました。しかし、最終的には消化器外科を選んで現在にいたります。なぜ、消化器外科だったのか――。

心臓血管外科は「秒と分の科」、1分、1秒を争う限られた時間の中で手術を行い、ダイナミックでカッコいい。しかしながら、術後は循環器内科がフォローすることが多く、人との繋がりが少ない感じがしました。一方、消化器外科は「時間と日にちの科」。ちょっとした考える時間があり、手術では、がんの患者さんが多く、その患者さんの一生を背負っていかなければならない側面が強いのですね。結局、「人」が好きな私は、ひとりの患者さんとのおつき合いが長くなる消化器外科に魅力を感じ専門に選びました。憧れのロールモデルになる先輩医師がいた点も動機のひとつです。

そうした当院でのレジデント経験をもとに外科・消化器外科の魅力を存分に知ってもらえるような指導をしたいと思っています。もちろん、後輩が憧れる外科医になることも目標のひとつです。

患者さんと対する姿勢


消化器ですから手術後に、きちんと暮らせているのかどうかをしっかり診る。手術の比率が低いわけではありませんが、それ以外の部分にこだわっていかなければならないと思っています。「あの人、手術までは熱心だったけど、術後の外来はずさん」と言われては、患者さんとの信頼関係はつくれません。

また、患者さんが高齢化しているので、消化器の病気は治ったけれども足腰などの具合が悪そうな方も最近は多くいます。専門外ではありますが、そういった患者さんにも時間をかけてインタビューし、適切な対応を行っています。

南村
外来では患者さんの目を見て話す、手術では自分の中で妥協をしない、を心がけています。消化器外科は色々な科に細分化されているのが現状です。欲張りかもしれませんが、あらゆる手術に対応できるジェネラリストであり、ユーティリティープレイヤーであろうと努めています。

小林
モットーは、自分の両親、家族を診る思いで患者さんに接すること。ほとんど、僕よりも年上の方々なので――。常に「身内だったらどうするか?」と考えながら診療に臨んでいます。

平田
患者さんと話すときには、格好つけずに、正直に話すようにしています。実は、私は、内科医に見られることが多く、患者さんからのお礼の手紙にも「消化器内科」と書かれている場合がしばしばあるのですね。風貌からだけだと、内科医のイメージのようで、とりつく島のない、おっかない、切れ者の外科医とは正反対のところにいるのが私です(笑)。

ただ、ついつい患者さんが納得するまでお話をしていると、待ち時間が長くなってしまう点は申し訳なく感じています。

小林
外来で、長時間、お待たせしてしまっている患者さんには、とりあえず、いったん診察室に入っていただき、「もう少しだから待っていてね」と言って待合室に戻ってもらいます。また、トイレに行く途中で、「待たせてごめんなさい。もうちょっとだからね」と一言かけるようにしています。1回、声をかけられるだけで、患者さんの心の持ちようは全然違うのですね。

自分の親が、ある病院の外来で待っているときに声をかけられ、「あの先生の対応は気持ちがいいな」と話しているのを聞いて見習うことにしました。

病診連携

小林
紹介状の手紙を受け取りますと、患者さんの診察を終えた後、お返事の手紙を書くのはもちろん、必ず電話をしてフォローしています。声を聞くだけで安心感は違うもの。直接のコミュニケーションを大事にしています。

平田
送ってくださった先生に、患者さんをきちっと治療して、その経過を正確に伝えることは必要最低限のマナーでしょう。特に手術をした際には、退院翌日までには最終報告をできるように心がけています。

南村
断らない医療。頼まれたら「はい」の2つ返事です。24時間、365日、なんでも受けます、引き受けます!


非公式での電話やメールでのご相談にも対応するようにしています。そして、手術の適応がなさそうでも、「とりあえずご紹介ください」と申し上げます。手術の適応がないからといって断るのではなく、実際に診て、やはり内科的治療が必要となれば、内科の先生にあらためてお願いする。消化器疾患のことでしたら、何でもご相談に乗りますといったスタイルを貫いています。

実は、私は、当院に赴任して2年の新参者なので、自己紹介を兼ね、近隣の墨田区、江戸川区、葛飾区にあるクリニックを約70軒、1年半をかけてまわりました。地道な努力が実って、訪問したクリニックの先生から患者さんを紹介いただくケースが増えており、うれしいかぎりです。

関連リンク

小林 隆 (消化器外科 部長・がん診療センター センター長)

小林 隆消化器外科 部長・がん診療センター センター長

1992年
東京大学医学部 卒業
東京大学医学部附属病院 外科 研修医
1993年
社会保険中央総合病院 外科
1995年
東京大学医学部 肝胆膵外科・人工臓器移植外科
1998年
竹田綜合病院 外科
1999年
東京大学医学部 肝胆膵外科・人工臓器移植外科
2002年
公立昭和病院 外科
2011年
都立広尾病院 外科
2013年
三井記念病院 消化器外科 科長
2014年
消化器外科 部長
2015年
がん診療センター センター長(兼任)
学会認定
日本外科学会認定医・専門医・指導医
日本消化器外科学会認定消化器外科専門医・指導医
日本消化器外科学会認定消化器がん外科治療認定医
日本肝胆膵外科学会認定肝胆膵外科高度技能指導医
ICD制度協議会認定インフェクションコントロールドクター(ICD)
専門分野
消化器外科
腫瘍外科(特に肝胆膵外科)
平田 泰 (消化器外科 科長)

平田 泰消化器外科 科長

南村 圭亮 (消化器外科 科長(大腸専門))

南村 圭亮消化器外科 科長(大腸専門)

森 和彦 (消化器外科 科長)

森 和彦消化器外科 科長

1996年
東京大学医学部 卒業
1996年
東京大学医学部附属病院 外科
1997年
東京共済病院 外科
2000年
東京大学医学部附属病院 第三外科
2001年
国立がんセンター研究所/腫瘍ゲノム情報研究部 リサーチレジデント
2005年
東京都公立昭和病院 外科
2006年
東京大学医学部附属病院 胃食道外科 助手(2007年より助教)
2009年
大阪市立大学 第二外科 後期研究医
2010年
東京大学医学部附属病院 胃食道外科 助教
2013年
東京大学医学部地域連携型高度医療人養成推進センター 講師
2015年
三井記念病院 消化器外科 科長
学会認定
日本消化器外科学会認定消化器外科専門医
日本食道学会認定食道科認定医・外科専門医
日本外科学会認定外科専門医・指導医
日本消化器外科学会認定消化器がん外科治療認定医
専門分野
消化器外科
腫瘍外科(特に食道)
  • 三井記念病院TOPページヘ
  • 求人一覧
  • お問い合わせ

ページの先頭へ