医療最前線 くも膜下出血

1.くも膜下出血とは?

脳の動脈が突然切れて、脳脊髄液の中に出血する病気で、突然の激しい頭痛・嘔吐・意識障害等で発症します。原因の95%以上は脳動脈瘤破裂で、CTやMRIもしくはカテーテル検査による脳血管障害で診断します。年1万人に2~3人の割合で見られ、他の脳卒中(脳梗塞や脳出血)とは異なり女性に多いため(男性の1.5倍)、比較的若い女性にできる脳動脈瘤に関しては遺伝的要素の関与が考えられています。他方、高齢者や生活習慣病保持者では動脈壁の脆弱化等の後天的素因の関与が考えられています。他方、高齢者や生活習慣病保持者では動脈壁の脆弱化等の後天的素因の関与が考えられています。脳動脈瘤の治療には開頭クリッピング術(金属製クリップで動脈瘤頸部を挟む)と脳血管内コイル塞栓術(コイルを詰めて瘤内への血流を遮断する)があります。くも膜下出血発症2週間後までは脳血管攣縮期で脳梗塞の合併に注意が必要です。脳脊髄液の吸収障害(水頭症)が生じる場合は追加手術が必要です(脳室腹腔シャント術等)。くも膜下出血自体の死亡率は10~67%、生存者でも要介助以下の転機不良例は40%以上と報告されています。

2.くも膜下出血の予防法は?

治療が必要な破裂しやすいと考えられる脳動脈瘤のスクリーニングのため、数年に1度脳ドック(もしくは脳MRIだけでも)を受けることをお勧めします。脳動脈瘤は成人の4~6%が持っており年間平均破裂率は0.95%ですが、6ミリメートル以上になると破裂しやすく、部位により破裂率が違うことがわかっています(前交通動脈瘤や内頸動脈後交運動脈分岐部動脈瘤は破裂しやすい)。脳ドック等で脳動脈瘤を指摘された場合は、予後判断や治療の適否の判断のため、脳神経外科外来を受診されることをお勧めします。

3.未破裂脳動脈瘤の治療

開頭術(クリッピング術)か血管内手術(コイル塞栓術)で治療します。コイル塞栓術は再発率10~20%ですが、手術時間は短く、頭に傷が残らないため、最近は件数が増加しています。両者とも脳梗塞などの合併症が見られることがあり(3~6%。死亡・寝たきり等の重篤な合併症は1%強)、年間破裂率が0.95%未満の小型の脳動脈瘤では、想定される治療の合併症率が治療の有用性を上回ると考えられるため、治療を受けるべきかどうかを十分に検討する必要があります。

未破裂動脈瘤が見つかり経過観察となった場合の生活上の注意点は、①高血圧や糖尿病などの生活習慣病はきちんと治療し、②喫煙・多量飲酒は控え、③大声で怒鳴ったり、排便時にきばる等血圧が急上昇するような行為は避け、④食事は十分な量をしっかりと食べ、⑤適度な運動を欠かさないことです。一病息災と言いますが、未破裂動脈瘤発見を機会に健康にいい生活習慣を生涯実行し続けることが肝要です。

出典:『三友新聞』「医療最前線」(2017年1月26日発行、三友新聞社)

関連リンク

中口 博 (脳神経外科 部長)

中口 博脳神経外科 部長

1989年
山形大学医学部 卒業
東京大学医学部附属病院 脳神経外科 研修医
1995年
諏訪中央病院 脳神経外科 医長
1997年
東京厚生年金病院 脳神経外科 医長
1999年
陽正会寺岡記念病院 脳神経外科 医長
2004年
帝京大学医学部附属市原病院(現 帝京大学ちば総合医療センター) 脳神経外科 講師
2010年
帝京大学ちば総合医療センター 脳卒中センター 准教授
2012年
三井記念病院 脳神経外科 部長
学会認定
日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医・指導医・学術評議員
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
日本脊椎外科学会認定医
専門分野
脳卒中
脊椎病
脳腫瘍
頭部外傷
神経放射線画像研究
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