医療最前線 変形性膝関節症

1. 変形性膝関節症とは?

関節の中には軟骨があります。軟骨が、衝撃を吸収してくれています。軟骨は、年を重ねるごとに減っていきます。軟骨がすり減って、痛みが出てきた状態を変形性関節症といいます。変形性関節症の中で頻度が最も多いのが変形性膝関節症です。変形性膝関節症のうち9割程度が内反変形(O脚)です。はじめは立ち上がりや歩き始めが痛いだけで、歩き始めると楽になります。進行してくると階段の上り下りが痛くなり、長距離歩行が難しくなります。膝の可動域も制限されることが多いです。

2. 検査方法は?

O脚の程度を簡単に調べるには、両足をそろえて立ってみてください。右膝と左膝の間はどれくらい開いていますか?指何本入りますか?こぶし1個入りますか?O脚がひどいほど隙間が広くなります。レントゲン写真で見るとより正確にわかります。軟骨はレントゲン写真に写りませんので、大腿骨と脛骨の隙間が狭くなっていると軟骨が減っていることになります。大腿骨と脛骨がくっついている場合は、軟骨が完全に消失していることになります。MRI検査で半月板の損傷をチェックしたり、骨壊死の有無を確認したりすることもあります。

3. 治療方法は?

変形が軽度な場合は、大腿四頭筋訓練と減量を行うと痛みが軽減します。ヒアルロン酸の注射や外用薬(湿布や塗り薬)を併用することもあります。痛みが強い場合は、痛み止めを内服します。痛みが悪化し、日常生活に支障が出た場合は手術を行うこともあります。

4. 三井記念病院の手術治療法の特徴とは?

手術治療は、大きく3つになります。①関節鏡視下手術、②骨切り術、③人工関節です。①関節鏡視下手術は、直径4mmの関節鏡を膝の中に入れて行います。半月板断裂や遊離体(関節ネズミ)の症状がメインの場合に行います。②骨切り術は、脛骨を骨切りして外反膝(X脚)にする手術です。年齢が40-60歳代の場合に行います。③人工関節は、膝の表面の骨をけずり金属で置換します。金属と金属の間にポリエチレンを入れて滑らかな動きを可能にします。人工関節は、内側だけを置換する人工膝関節単顆置換術(UKA)と内外側とも置換する人工膝関節全置換術(TKA)に分かれます。変形が軽度で、可動域がよい場合はUKAが可能です。

三井記念病院では患者さんの年齢、活動度、変形の程度、可動域、全身合併症を総合的に判断して手術治療を選択しています。手術治療をお考えの方は、一度ご相談ください。

出典:『三友新聞』(2017年6月1日発行、三友新聞社)

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廣田 仁聡 (整形外科 科長)

廣田 仁聡整形外科 科長

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