医療最前線 月経困難症

1.月経とは

月経(生理)とは、約1カ月の周期で子宮内膜がはがれ落ち、体外へ排出されることをいいます。一連の月経サイクルは、卵胞期、排卵期、黄体期、月経期に分けられており、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2種類のホルモンが大きく影響しています。現代女性は昔の女性と比べ出産回数が減ったために月経回数が増え、月経のある期間が長くなったと言われています。このために月経困難症や子宮内膜症などの病気が増えてきたと考えられています。

2.月経困難症とは

月経中に起こるおなかの痛み・腰痛・疲労感などのからだの症状や、イライラ・抑うつなどのこころの症状が、日常生活に影響するほど強く出る状態を月経困難症と呼びます。その中で最も頻度が高いのが生理痛(月経痛)ですので、月経困難症と生理痛は同じように考えられることもあります。15歳~49歳までの約2万人に対する調査では、7割以上の女性が月経に付随して集中力の低下やむくみ、イライラなどの症状に悩まされており、2人に1人が月経痛に悩んでいるという結果も出ています。

3.月経困難症の種類

機能性月経困難症と器質性月経困難症の2タイプがあります。機能性月経困難症は特に原因となる病気はないものの、月経中に子宮内膜から産生される痛み物質「プロスタグランジン」などにより痛みが引き起こされます。器質性月経困難症は子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などの病気が原因となり、痛みなどの症状が現れるものです。このうち子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が腹膜や卵巣などの子宮周囲の臓器にできる病気で、病巣にできた組織は月経に伴い増殖と剥離を繰り返して炎症や癒着を起こします。子宮腺筋症は子宮内膜組織が子宮筋層にできる病気で、月経痛・過多月経の症状を引き起こします。子宮筋腫は良性の腫瘍で、大きさや個数にもよりますが、過多月経、不正出血、月経痛の原因になります。

4.治療法

月経困難症の薬物療法には(1)鎮痛薬(2)経口ホルモン剤(低容量経口エストロゲン・プロゲスチン配合剤)(3)漢方薬(4)子宮内システム(IUS)があります。また、先に述べた器質性月経困難症の原因疾患(子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症など)に対しては手術療法が選択されることもあります。三井記念病院では腹腔鏡下手術を積極的に行っております。開腹手術と比較して美容的に優れ、また低侵襲であることから社会復帰が早いことが利点です。

生理は痛くて当たり前でも、我慢するものではありません。会社を休んだり、朝起きるのが辛くて日常生活に支障がでる場合は治療が必要な状態と考えられます。当院でも患者さんの状態に応じて治療を選択していますので、月経困難症でお悩みの方は是非ご相談ください。

出典:『三友新聞』(2017年11月2日発行、三友新聞社)

関連リンク

小泉 美奈子 (産婦人科 科長)

小泉 美奈子産婦人科 科長

学会認定
日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医
日本生殖医学会生殖医療専門医
日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医
日本内視鏡外科学会技術認定医
  • 三井記念病院TOPページヘ
  • 求人一覧
  • お問い合わせ

ページの先頭へ