医療最前線 急性心筋梗塞
1.急性心筋梗塞とは?
心臓は血液を全身におくる「ポンプ」の役割をしています。心臓は絶えず働いているため、たくさんの血液が必要です。その血液を心臓に供給するのが「冠動脈」と呼ばれる心臓の血管です。「急性心筋梗塞」とは、この冠動脈が「詰まる」ことで、十分な血液を供給できず心臓の筋肉が壊死してしまう病気のことをいいます。壊死した筋肉を再生することは現代の医療でもできません。そのため急性心筋梗塞が発症した場合は、壊死する心臓の筋肉の範囲をできるだけ少なくするため、一刻も早く「詰まった」血管を再開通することが大切です。
2.症状は?
突然の胸痛が典型的な症状といわれています。とくに「心臓をわしづかみにされるような」、「締め付けられる胸痛」と表現される方が多いです。胸痛が20分以上持続した場合、急性心筋梗塞である可能性が高くなります。また、数日前から5分程度の持続時間の短い胸痛が前兆として出現する方もいらっしゃいます。こういった症状が出現した場合は救急車を呼ぶことを考慮してください。
3.どれくらい命にかかわるか?
急性心筋梗塞は治療法が進歩しているにもかかわらず、約30%の方が死亡してしまうと言われています。これは病院にたどり着く前に亡くなってしまう方も含みますが、病院までたどり着いても約7%が死亡してしまうほど重篤な疾患です。
4.急性心筋梗塞の治療は?
急性心筋梗塞が発症した場合はできるだけ速やかに詰まった冠動脈を再開通させることです。内服薬や点滴では不十分です。その治療は「カテーテル治療」や「心臓バイパス術」の二種類ありますが、迅速に治療を開始でき、患者様に負担の少ないカテーテル治療が現代の主な治療です。急性心筋梗塞が発症した場合はできるだけ速やかにカテーテル治療を受けることで、心臓の壊死範囲を小さくすることができます。カテーテル治療後は集中治療室にて治療し、心臓リハビリを行い日常生活に適応できるようにしていきます。当院は「心臓大動脈センター」を開設しており、それぞれの専門スタッフにより、急性心筋梗塞を含む心臓大動脈疾患に対し質の高い医療を迅速かつ適正に提供できます。
5.どのような人がなりやすい?
急性心筋梗塞の原因は「動脈硬化」によって冠動脈が狭くなったり詰まったりすることで発症します。「動脈硬化」の原因は、生活習慣といわれております。不摂生な食事(塩分過多、糖分過多、脂質過多)、運動不足、肥満、喫煙などがあげられます。また生活習慣病の疾患として、糖尿病、高脂血症、高血圧症は動脈硬化を進行させてしまう因子ですので、気になるかたは当院にて心臓の精査ができますのでお気軽に受診してください。
出典:『三友新聞』(2017年12月7日発行、三友新聞社)