三井記念病院の初期研修に迫る 2017年度

―初期研修2年目。症例発表会での優秀者に聞く―

三井記念病院では、初期研修2年目の医師に症例発表を行うことを義務づけ、賞を授与しています。今回、2017年12月に行われた症例発表会で賞を獲得した3名に集まっていただき初期研修中のお話を聞きました。同院での初期研修の様子が垣間見られます。医学生の皆さん、ぜひ初期研修先を選択する際の参考に。

最優秀賞:今井 誠 先生
優秀賞:占部 秀典 先生
特別賞:塚田 晃成 先生

Q.症例発表会での演題と、その内容を簡単に教えてください。

――いずれも、きわめて珍しい症例。さまざまな疾患を診られるからこその発表でしょう。

今井
「皮下局所的アミロイド沈着によるinsulin ballの症例」です。血糖コントロール増悪の精査目的に入院となった2型糖尿病の患者の採血で抗GAD抗体の陽転化を認め、緩徐進行型1型糖尿病の診断に至りました。

しかし、インスリンの単位量を増量しても血糖の改善を認めず、改めて身体診察を行ったところ注射部位に下腹部皮下腫瘤が存在しました。

同部位の生検で 膠原繊維間にCongo red染色陽性の無構造物質を認め、 皮下局所的アミロイドーシス(insulin ball)の診断に至り、その後注射部位を変更することで血糖の改善を認めました。

緩徐進行型1型糖尿病のinsulin ballは世界で未だ症例報告がない珍しい症例であり、血液検査や画像検査だけではなく、視診や触診による身体診察が診断に至る大きなヒントとなった教訓的な症例でした。

占部
演題は、「静脈優位の肉芽腫性血管炎を来した腹膜炎1例」です。腹痛、下痢、発熱で入院した患者さんで腹膜炎と診断されたのですが、抗生剤が効かず、最終的に大網生検と盲腸生検で原因検索を行いました。どちらの病理組織も壊死性肉芽種性血管炎を呈しており、柵状肉芽腫も認めていたため、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)疑いの診断として治療を開始したところ、症状が著明に改善。通常GPAは上気道、肺、腎臓に病変を来しますが、本症例では腸管膜病変のみで、また、小細動脈に壊死性肉芽腫性病変を来すのが特徴にもかかわらず、本症例は静脈の侵襲が優位であった点も非典型的でした。

本症例のような症例が存在するか調べてみると、1件のみしかhitせず、世界で2例目である可能性も考えられ、症例発表会の演題に選びました。ちなみに、この症例は国際学会や内科学会総会でも発表しています。

塚田
「左胸腔内巨大腫瘍を呈した骨外性骨肉腫の一例」で発表しました。呼吸困難で救急外来を受診された患者さんで、胸部CTにて左胸腔内の巨大腫瘍が疑われました。出血のリスクから生検での確定診断ができず、腫瘍の大きさや高齢であった背景から手術や化学療法は行わず、支持療法の方針となりました。その後腫瘍の特定はできないまま死亡され、ご家族の承諾を得て剖検を行い、骨外性骨肉腫の診断となりました。胸壁、胸膜由来の骨外生骨肉腫は、過去20年間で国内・外の報告は10例以下と非常に珍しく、死因の特定、腫瘍の性状の解明などに関して剖検の重要性を再認識することができました。

Q.初期研修期間を振り返って思うことは――。

――3人とも、すでに初期研修で一般症例を診る力を身につけられたと感じているようです。

塚田
大学病院の初期研修は"見学者"になってしまうと聞き、市中病院で研修しようと考えて、いくつかの病院を見てまわりましたが、中でも三井記念病院の研修医の先生方が、主体的に、自身の意見を持って診療にたずさわっている様子が印象的で、当院を研修先に決めました。

実際の研修は、想像を裏切らず、自分で考え、手を動かす機会に恵まれ、これから始まる長い医師人生のスタートを当院で切ることができ良かったと思っています。

占部
医学部5年生の時にいくつかの病院を見学しましたが、当院の初期研修医だけが先輩医師とセットで動かず、自立して研修に臨んでいました。いわゆるOJTのような存在がいると教えられることは多いかもしれませんが、僕は、研修医といえども、一人の医師として診療することで身につくことは多いと思い、当院を選びました。

2年間を振り返って思うのは、「忙しかった」というひと言に尽きます(笑)。しかし、忙しい中でも沢山症例に触れることができたことは、非常に勉強になりましたし、一般的な症例には対応できるようになったとの自負できるようになりました。

今井
消化器内科をめざし、特に消化管の分野に興味があったため、その点で学ぶ環境や症例数などで絞り込んだ結果、当院での初期研修を希望しました。

学生時代はテニス部に在籍し、まったく勉強していなかったので、研修では人一倍自分を追い込まないと、力の差が広がってしまう一方だと焦り気味でしたが、占部先生の言うように当院は良い意味で非常に忙しく、少々コンプレックスになっていた力の差は、確実に縮められたと手応えを感じています。

Q.後期研修の予定を教えてください。

――それぞれ違う道を歩み出しますが、三井記念病院との縁を大事にしています。

占部
もともと基礎研究に興味があって医師になったので、初期研修後は、東京大学の病理学教室に入局します。とはいえ、後期研修1年目は、引きつづき当院で病理診断の業務に就く予定です。当院は、都内の病院の中でも病床数に比して剖検の数は多い方ですし、慣れた職場ですから不安なく後期研修を始められそうです。

塚田
3年目以降は、国立国際医療研究センターの呼吸器内科に進みます。症例発表会で呼吸器内科の疾患を扱ったのをきっかけに、同科に魅力を感じるようになりました。ほかの病院で武者修行をし、もし縁があれば、当院に戻ってくることも視野に入れています。

今井
僕は、当院に残り、消化器内科で後期研修を受けます。「消化管疾患」、「肝疾患」、「胆嚢、胆道、膵疾患」の3つの分野をバランス良く学べると確信したからです。また、三井記念病院なら国際学会で発表できる点も魅力的でした。

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