医療最前線 コンピュータ支援手術

1.コンピュータナビゲーションシステムとは?

症例の脊椎のモデルをコンピュータ画面上に再現します。手術器具の位置が画像内で示されることで、術者を術前計画通りに誘導する装置です。見えない場所に向かってスクリューのような固定材を進めていく場合に、目的地に向かっていっていることを、カーナビと同じようにリアルタイムで画面に映し出しながら手術を行うのです。手術器具の先端の位置情報を、外から赤外線カメラが正確に捉えます。

2.どのような手術に用いるか?

以前に本新聞において、「腰部脊柱管狭窄症」という腰椎疾患について掲載させていただいたことがあります。脊椎には竹輪のようなトンネルが内部にあり(脊柱管)、老化現象などに伴って内部構造が狭くなっていき、そこを通過する神経の束が圧迫されることで起きる疾患です。典型的な症状としては、歩いているうちに足腰がしびれだして休まなくてはならなくなります。歩行距離が極端に制限されるようになると、神経の圧迫を取り除く目的で手術が必要となります。腰椎のズレを伴っている場合には、金属で固定することがあります。挿入するスクリューの行先は、内部をみることができない骨の中であり、方向を間違うと、神経や血管を刺してしまうリスクがあります。起きてはならない合併症を完全に回避するためにコンピュータナビゲーションシステムを使用します。さらに骨のサイズの小さい頚椎(首の骨)に対して同様な手術を行う場合に特に威力を発揮します。ケガや関節リウマチ等による頸椎のズレや不安定性を解消するための手術です。

3.費用は?

すべての脊椎手術は保険診療で受けられ、高額療養費制度を利用できます。コンピュータを使用したからといって、多額の追加医療費を請求される心配はありません。脊椎の手術をお受けになる可能性のある身内やお知り合いの方がおいでの場合、当科をご利用いただければ幸いです。

4.三井記念病院の脊椎手術の特徴は?

すべての脊椎手術において、高精度の顕微鏡を使用し、卓越した止血技術により輸血を要することは、ほぼ皆無です。難易度の高い手術を必要とする患者さんが多々紹介されてきますが、コンピュータシステムを武器に、信頼度の高い手術を提供させていただいております。手術までの待機期間も迅速です。

出典:『三友新聞』(2018年4月19日発行、三友新聞社)

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星地 亜都司 (副院長・整形外科 部長・教育研修部 部長)

星地 亜都司副院長・整形外科 部長・教育研修部 部長

1984年
東京大学医学部 卒業
1984年
東京大学医学部 整形外科 入局
関連病院勤務(三井記念病院を含む)
1997年
国立身体障害者リハビリテーションセンター病院 整形外科 医長
1999年
東京大学 講師(医学部附属病院 整形外科)
2008年
自治医科大学 整形外科 准教授
2014年
三井記念病院 整形外科 部長
2015年
教育研修部 部長(兼任)
2016年
副院長(兼任)
学会認定
日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科指導医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
日本整形外科学会認定整形外科専門医
専門分野
脊椎外科
コンピュータ支援手術
運動器疾患全般
著書
『Critical Thinking 脊椎外科』(三輪書店)
『整形外科手術クルズス』(編著 南江堂)
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