医療最前線 頸椎椎間板ヘルニア
1.頸椎椎間板ヘルニアとは?
各頸椎を連結する椎間板が脊柱管内に飛び出して神経を圧迫し、くび、肩甲骨、腕の痛みを引き起こした状態を言います。椎間板ヘルニアは腰椎で頻度が高いのですが、頸椎にも発生します。首の痛みだけだと寝違え、頸椎捻挫と区別はつきません。腕や肩甲骨部の痛みを伴う場合には、本疾患を疑います。
2.症状は?
頸部痛のほか、左右どちらかの腕や指のしびれ、肩甲骨部の痛みを伴います。腕や手の筋力低下を伴うこともあります。上を向こうとすると痛みが悪化します。痛みの程度は様々ですが、ひどいと痛みのため眠れなくなることもあります。
3.検査方法は?
症状が強い場合や長引く場合にはMRIという画像検査が必要です。ヘルニアと同様の症状を呈する疾患は他にもあり、細菌感染、癌の頸椎転移のような腫瘍性疾患が見つかることもあります。
4.治療法は?
首の姿勢について厳重な注意喚起をいたします。顎を上げるとヘルニアが余計に神経を圧迫するようになり症状が悪化します。上を向かないように厳重な注意が必要です。顎を少し引いた格好をするのが良いです。頸椎装具でその位置を保っていただき、頭の重みを軽減するようにしていただくこともあります。薬を飲むときにも顎を上げないよう気を付けなければなりません。コンピュータ画面を見る際にも注意が必要です。視線を落とすような位置にコンピュータ画面を調整しておくことが望ましいです。寝るときには枕をし、顎を少し引いた格好をとるようにします。水泳や首の運動は厳禁です。各種鎮痛剤を使用します。以前よりも強力な鎮痛剤が開発されてきています。高齢者むけの内臓に優しい鎮痛剤もあります。激痛の場合には、入院の上で点滴による鎮痛を行います。筋力低下が強い場合や、薬物による治療効果が乏しい場合には、早期の手術をお薦めすることもあります。頚部前方約六センチメートルの傷で顕微鏡視下にヘルニアの切除を行います。入院期間は2週間程度です。骨盤からの骨を移植する必要があるため術後には装具を2~3カ月着用していただきますが、デスクワークでしたら早期の復職が可能です。
5.当院での治療の特徴は?
手術を回避できそうかどうか、十分に保存療法を行います。手術が必要な場合には早期の手術を組むこともできます。即入院対応でき、手術が必要な場合にも待機期間は短いです。卓越した止血技術を裏打ちとする高精度の手術を提供しています。
出典:『三友新聞』(2018年6月21日発行、三友新聞社)