医療最前線 潰瘍性大腸炎

1.潰瘍性大腸炎とは?

潰瘍性大腸炎とは、比較的若い人に発症することの多い、大腸に炎症をきたす疾患です。発症の詳細な原因は不明ですが、からだの免疫システムの異常で発症することがわかっています。現在のところ根治させる治療法はなく、ひとたび発症すると、なんらかの治療を生涯継続しなければなりません。

2.どんな症状が出るか?

ほぼ間違いなく出る症状として、下痢、血便が挙げられます。2週間以上下痢、血便が継続する場合に、本疾患を疑います。1日5~6回程度の下痢、血便というのが典型的ですが、患者さんごとに重症度はまちまちであり、便に血液が付着する程度の軽症の方から、1日20回以上の排便があり、強い腹痛や発熱を伴うような重症の方までさまざまです。

3.どのような人が発症しやすいのか?

好発年齢は20代ですが、小児期に発症する方もいる一方で、60歳を越えてから発症する方もいらっしゃいます。発症に性差はなく、男女とも同じくらいの頻度で発症します。現在、日本に約25万人程度の患者さんがいると推定されており、これは、日本人の約500人に1人にあたります。また、この病気は喫煙が予防的に働くことが知られている数少ない疾患のひとつで、中年以降で発症する方のなかには、禁煙してしばらくしてから発症される方がおられます。親から子へ伝わるような遺伝性疾患ではありませんが、血縁にこの疾患がいらっしゃる方は、そうでない方に比べて発症頻度が高いことが知られています。その他にはこれといって発症の誘因となるようなものあまり知られておらず、だれにでも発症しうる病気といえます。

4.治療法は?

根治させることはできませんが、命にかかわることもめったにありません。治療を継続することにより多くの患者さんで症状のほとんどない状態にコントロールすることが可能です。比較的軽症の方に対しては、5-アミノサリチル酸製剤という、炎症を起こした大腸粘膜に直接へばりついて炎症を鎮静化させる薬剤が使われます。この薬剤は、経口投与に加え、肛門から挿入する坐剤や注腸剤といわれる剤型の薬も使われます。より重症になってくると、免疫機能を制御する治療法が行われ、ステロイドや免疫抑制剤といわれる薬剤が使用されます。現在は、分子標的薬という免疫に関与する特定の分子を狙い撃ちする薬が多く使用されるようになってきています。なお、これらの薬剤でどうしても病勢のコントロールができない方に対しては、大腸を切除する手術が行われる場合もあります。今後も新しい治療薬が開発されつつあり、病勢の強い患者さんや難治の患者さんは、専門的知識を有した医師による治療をうけることが望まれます。

出典:『三友新聞』(2018年7月19日発行、三友新聞社)

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加藤 順 (内視鏡部 部長)

加藤 順内視鏡部 部長

1993年
東京大学医学部 卒業
東京大学医学部附属病院 内科
1994年
社会保険中央総合病院 内科(現:東京山手メディカルセンター)
1995年
亀田総合病院 消化器内科
1997年
東京大学 消化器内科
2001年
日本赤十字社医療センター 消化器内科
2003年
岡山大学 消化器・肝臓内科
2010年
和歌山県立医科大学 第二内科 准教授
2018年
三井記念病院 消化器内科 内視鏡診療部長
内視鏡部 部長
学会認定
日本消化器病学会認定消化器病専門医
日本消化器病学会認定施設における指導医
日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医・指導医
日本内科学会認定総合内科専門医
専門分野
炎症性腸疾患
大腸内視鏡
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