わたしの専門

医療最前線 突発性難聴

どのような病気か

片側の耳の音を感じ取る細胞に何らかの障害が起こり、突然に難聴が生じる疾患です。時間をかけて徐々に聞こえなくなっていくのではなく、朝起きたら急に症状が出ていたり、数日の経過で急速に聞こえづらくなったりするものを指します。難聴が生じるとともに耳鳴りが生じる場合や耳鳴りだけが自覚症状の場合もあります。原因がわからないものを突発性難聴とする、とされています。血管の閉塞や神経へのウイルス感染などの説がありますがまだはっきりしていません。

どのように診断するか

急に生じた難聴であれば突発性難聴の可能性がありますが、急に生じる難聴には(1)耳垢栓塞(単に外耳道に耳垢が詰まって起こる難聴)(2)中耳炎(鼻の奥と中耳をつないでいる耳管の障害により感染が波及したり中耳に液体が貯留したりして起こる難聴)などによる場合もあります。ややこしいことに突発性難聴と他の難聴が合併する場合もあり、我々にとっても診断に苦慮することがあります。耳鼻科医の診察なしに確実に診断することは難しいです。

音のするものを両耳に交互に当ててみることで左右の聞こえの違いを簡易的に調べることはできますが、突発性難聴と他の難聴を区別するには骨導聴力の測定が必要です。骨導聴力検査では耳の後ろの骨を振動させて音を伝えた場合の聴力を測定します。耳垢や中耳炎による難聴では骨導聴力は低下しない伝音難聴(鼓膜からの音の伝わり方の異常)となりますが、内耳性難聴である突発性難聴では骨導聴力が低下する感音難聴(音を感じ取る神経の異常)を呈することで区別できます。

どのように治療するか

原因不明の病気でもあり確実な治療方法はわかっていませんが、副腎皮質ステロイドの投与で改善することはわかっています。他の治療法も模索されていますが統計学的に有意な効果が確認されたものはありません。副腎皮質ステロイドの副作用として血糖上昇があり、糖尿病の方には入院での治療をおすすめすることがあります。内服治療よりも点滴治療の方が薬を高濃度に投与できるので、重症の場合には1~2週間の入院点滴治療をおすすめします。治療効果については、重症の方が治りにくいこと、発症から治療が早い方が改善しやすいこと、発症から約1カ月を経過するとそこからの改善は困難であることがわかっていますので、片耳の急性の難聴を感じたら早めに耳鼻科を受診してください。

どのように予防するか

原因がわかっていないとはいえ、ストレスや寝不足などがきっかけになりうるケースがあることは言われています。また、血管の障害が疑われるので脱水状態になるのは好ましくありません。診断が遅れると治りにくいので、ご自身・周囲の方で症状があれば早めに耳鼻科を受診してください。

出典:『三友新聞』(2018年9月19日発行、三友新聞社)

西村 信一 (耳鼻咽喉科 部長)

西村 信一耳鼻咽喉科 部長

1996

東京大学医学部卒業

1996

東京大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科 研修医

1998

都立府中病院 耳鼻咽喉科

1999

亀田総合病院 耳鼻咽喉科 医員

2001

東京大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科 医員

東京大学大学院医学研究科博士課程

理化学研究所 脳科学総合研究センター 脳数理研究チーム

ジュニア・リサーチ・アソシエイト

2004

NTT東日本関東病院 耳鼻咽喉科 医員

2005

東京大学大学院医学研究科博士課程 卒業、学位取得

2007

亀田総合病院 耳鼻咽喉科 部長

2012

三楽病院 耳鼻咽喉科 部長

2018

三井記念病院 耳鼻咽喉科 部長

学会認定

日本耳鼻咽喉科学会・日本専門医機構認定耳鼻咽喉科専門医

日本耳鼻咽喉科学会 耳鼻咽喉科専門研修指導医

専門分野

耳鼻咽喉科

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