病院の取り組み

三井記念病院の初期研修に迫る! 2018年度

初期研修2年目。症例発表会での優秀者に聞く

三井記念病院では、初期研修2年目の医師に症例発表を行うことを義務づけて賞を授与しています。ここでは、2018年12月に行われた症例発表会で賞を獲得した2名に受賞した症例発表の内容や同院での初期研修に関する話を聞きました。医学生の皆さん、初期研修先を選択する際の参考に。必読です!

(取材対象者)
野中 英彰 先生/最優秀賞
埴生 典秀 先生/奨励賞

Q.症例発表会での演題とその内容を簡単に教えてください。

―さまざまな症例が診られる三井記念で研修していればこその症例発表だったことがわかります。

野中
発表のタイトルは、「感染症脳動脈瘤破裂により死亡した大動脈人工血管感染の一例」です。

感染性動脈瘤を合併した人工血管の感染症は、そもそもきわめて珍しく、診断をくだすのが難しい症例です。今回の症例に関しても、さまざまな検査で、ほぼ人工血管感染に間違いないだろうというところまでいったのですが、専門科にコンサルトしても確定診断にはいたらず、急変して助けることができませんでした。結局、剖検をして病理学的に人工血管感染が証明されました。重症度が高く、死亡は避けられなかったとは思いますが、関連論文などから、検査結果を精査すれば急変以前に診断がつけられたのではないかという、悔いも交えて発表しました。

埴生
「胆嚢癌の術前診断で拡大右葉切除を行った黄色肉芽腫胆嚢炎の一例」のタイトルで発表しました。

胆嚢がんと診断がついた担当患者において、胆嚢切除のためにお腹を開き組織を採って病理にまわすと、なんと悪性腫瘍ではなく、黄色肉芽腫胆嚢炎だった症例の発表をしました。学生時代に胆嚢炎や胆嚢がんは勉強したのですが、胆嚢炎の亜型のひとつの黄色肉芽腫胆嚢炎は初めて聞く疾患名で、自分の未熟さを痛感しました。

Q.初期研修先に三井記念を選んだ理由は?

―初期研修を「指示待ち」で終わらせたくない、という医学生が、選んでいます。

埴生
もともと外科志望だったのですが、内科の知識がなければ一人前の外科医にはなれないと、口コミで「内科が特に強い」、「主治医と近いことができる」と言われている当院に興味を持ちました。見学に訪れ、上級医と真剣かつザックバランに討議している2年目研修医を見て、彼らの働く姿勢や自立心の強さにひかれたのが決め手でしたね。ほかの病院も見学しましたが、指示待ちの印象が強かったです。

野中
学生時代の実習先では、上級医の後ろをついていくだけだったので、自分でしっかり考える癖がつかない研修先を選んではいけないと思いながら数ヵ所の病院を見学しました。いろいろ見たのですが、いずれも上級医の入ってくる余地が大きく、研修医が自分のミスにも気づかないまま診療しているようでした。その点、三井記念は、研修医が中心となって病棟をまわすような雰囲気があるとともに、自分でしっかり勉強する姿勢が垣間見られ、将来、ステップアップしていくために大事な姿勢を身につけられそうだと選びました。

Q.初期研修期間を振り返って思うことはなんでしょう。

―厳しくも有意義な「三井流の初期研修」で、大きく成長した自分を感じているようです。

埴生
先輩医師によく言われるのが、「なんでやってないの?」という一言。自分でいろいろ調べながら臨んでも、足りないところや勉強不足な部分があると、「そういうこともあるね」ではなく、「なんでやってないの?」と言われるのです。厳しい言葉ですが、どちらかというと、常にお尻を叩く研修スタイルが三井流で、この環境が自分を強くしてくれていると感謝しながらの日々でした。

野中
初期研修医時代には、知識を詰め込んで成長しようと考えていました。けれども実際に臨床現場に出てみると、たとえば、がんなどで治らない患者さんもたくさんおり、そういう方々のサポートの仕方もしっかり勉強するべきだし、逆に勉強したならば、患者さんのQOLの向上に寄与できることを知り、知識偏重の考えが改まりました。こうした心境になれたのは、三井記念の初期研修医が担当医として主体的に患者さんとかかわれる研修プログラムだったからです。とても苦労しましたが、当院で研修したおかげで、医師としてなくてはならないものを得られました。

Q.後期研修の予定を教えてください。

―2年間の初期研修では足りず、お2人とも専門研修も三井記念を選択しました。

野中
実は、循環器内科志望であったことも三井記念を初期研修先に選んだ理由のひとつです。三井記念の循環器科の評判は高く、症例も多いし、優秀な先生がたくさんおり、その気さえあれば、いくらでも引き出しがあって、学びに事欠きません。他の医療機関の選択肢も頭によぎりましたが、結局、見学するまでにはいたりませんでした。留学先にも恵まれていますので、引きつづき当院で専門研修を行う予定です。

埴生
三井記念の外科コースは、初期研修2年間、専門研修3年間の5年間で完結するものです。したがって、最初から5年間はお世話になるつもりで当院に来ました。もちろん初期研修が満足いかなければ他院の研修プログラムも視野に入れるところですが、先に述べたように自己の成長を感じていますので、なんの躊躇もなく、専門研修も当院で行います。

関連リンク

野中 英彰 ()

野中 英彰

埴生 典秀 ()

埴生 典秀

  • 三井記念病院TOPページヘ
  • 求人一覧
  • お問い合わせ

ページの先頭へ