病院の取り組み

三井記念病院の初期研修に迫る! 2020年度

―症例発表会受賞者インタビュー―

(取材対象者)
最優秀賞:嘉島 相堯 先生
奨励賞:根本 脩平 先生

Q.症例発表会での演題とその内容を教えてください。

――さまざまな症例の患者さんが集まる三井記念だからこそできた症例発表でした。

嘉島
演題名は「小腸穿孔をきたした単形性上皮向性腸管T細胞リンパ腫」で、最優秀賞をいただくことができました。

腹部膨満と呼吸苦で他院へ救急搬送された70代女性の患者さんが、消化管穿孔の疑いで当院へ転院。小腸に2ヵ所の穿孔部が見つかり、緊急手術を行いました。病理の結果、小腸穿孔を引き起こした原因は、T細胞リンパ腫が腸管に出現したためとわかり、単形性上皮向性腸管T細胞リンパ腫の診断をくだしました。腸管に出現するT細胞リンパ腫は非常に珍しく、これまでに報告された症例も数えるほどしかありません。そこで、皆で共有すべき重要な症例だと考えて発表しました。

根本
「サイトメガロウイルス腸炎を併発したステロイド抵抗性重症潰瘍性大腸炎の1例」というタイトルで発表し、奨励賞を受賞しました。

患者さんは60歳の男性で、発熱や腹痛、下痢が1ヵ月つづき、当院を紹介受診されました。臨床経過や検査結果から、比較的スムーズに重症全大腸型潰瘍性大腸炎と診断できました。ところが、ステロイドによる寛解導入療法を開始したものの改善が見られず、サイトメガロウイルス腸炎を合併。文献などを調べてステロイドへの抵抗を持つ症例と判断し、生物学的製剤や免疫抑制薬を利用して寛解に導きました。治療中に別のプロブレムが発生し、それに対して鑑別をくだして対応するという、内科医としての基本的な姿勢が問われた症例でした。

Q.初期研修先を三井記念に決めた理由は?

――初期研修医でも主体的に診療に取り組める病院だから。

嘉島
いくつかの病院を見学したのですが、病棟管理のような仕事は、指導医の指示のもとで行われる病院がほとんど。けれども当院では、チーフレジデントはもちろん、初期研修医にも患者さんの治療方針を提案できる機会が豊富にあったのです。医師としてのベースになる実力を身につけるには当院がベストだと考えて、初期研修先に選びました。

根本
循環器内科医を志していたので、循環器内科が強い当院を見学したのですが、まず、お会いした研修医の先生方の優秀さにびっくりしました。さらには、参加させてもらったカンファレンスで、初期研修医が自ら問題を見出し、その解決策を提示している様子を見て、当院なら主体的に研修を進められると確信しました。

Q.初期研修を振り返っての感想をお聞かせください。

――将来の志望を尊重したメリハリのある研修でした。

嘉島
当院の初期研修は、必修科目の診療科をまわる期間以外は、メインの診療科を重点的に研修できる仕組みになっています。私は「外科重点コース」でしたが、予想していたよりもずっと密度の濃い研修で、他院で研修を受けた同級生たちより断然、多くの手術や周術期管理を経験することができました。

根本
私は「内科重点コース」だったので、2年間のうちなんと13ヵ月を使って内科をローテートし、内科のコモン・ディジーズをたくさん診ることができました。当院では、初期研修医も担当医となって患者さんを診療するので、責任を持って仕事に取り組む姿勢も身につけられたと思います。

Q.初期研修中、特に印象に残った出来事はありますか

――先輩医師から「能動的に動け!」と言われて目が覚めました。

嘉島
もともと受け身な性格なこともあり、初期研修が始まったばかりのころは、指導医の先生の指示を待つばかりでした。しかし、その様子を見たチーフレジデントの先生から「この病院では能動的に動かないと意味がないよ」と言われてハッとし、それからはカンファレンスなどでも、わからないなりに奮闘するようになりました。

根本
私も嘉島先生のように、当初は受け身の姿勢になりがちでしたが、あるとき指導医の先生から「自分がやらなければ、この患者さんがどうなってしまうのか考えて診療しなさい」と言われたのです。その後は、自ら率先して勉強して患者さんを診療し、わからないことが出てきたらまた勉強する――という好循環が生まれました。

Q.専門研修も三井記念を選んだ決め手は?

――志望する診療科が決まっている方には特におすすめです。

嘉島
当院の外科研修は、基本的に初期+専門研修の5年をセットにして考えられているので、初期研修後もそのまま専門研修を当院で受けるのは既定路線でした。もちろん他院も見学したのですが、当院の外科5年研修よりまさるところはないと感じて決めました。

根本
先ほどお話ししたとおり、私が当院を初期研修先に選んだ理由は、評判の高い循環器内科で学ぶためだったので、専門研修も引きつづき当院を選びました。当院の専門研修では、専攻医の修練としても十分な指導を受けられ、多くの症例経験が積めます。加えて、同じ循環器内科の中で上級医がそれぞれ高い専門性を持って活躍しているため、後輩は日々ロールモデルから学び、常によい刺激を受けています。

Q.研修先をどこにしようか迷っている医学生へメッセージをお願いします。

――自分が最優先することを見きわめ、先輩の姿に自分の将来像を重ねよう!

嘉島
医学生の皆さんが研修先を選ぶときには、「手術をたくさんしたい」、「働きやすいところがいい」、「やっぱり給料は高くないと……」のように、いろいろな希望を思い浮かべがちです。しかし、はっきり申し上げて、それらすべてをかなえてくれる研修先などありません。ですから、自分が何を最優先にするのかをしっかり見きわめて、それに合致する研修先を選ぶとよいと思います。

根本
病院見学に行った際、その病院での初期研修を終えて専門研修を受けている卒後3年目の医師が、どんなふうに働いているのか、どれくらいの実力を身につけているのかを観察してみてください。きっと初期研修を終えた自分の未来の姿が見えてくるはず。望む自分になれそうな病院を選択することをおすすめします。

嘉島 相堯 ()

嘉島 相堯

根本 脩平 ()

根本 脩平

  • 三井記念病院TOPページヘ
  • 求人一覧
  • お問い合わせ

ページの先頭へ