外科専門研修の概要説明
はじめに
三井記念病院の外科研修のサイトをご覧の皆様、ご訪問ありがとうございます。当院は近隣にある複数の大学病院、ハイボリュームセンターに囲まれた「都心の病院」ですが、地域の医療機関のニーズに応えるべく、がんや心臓血管の専門的な手術から救急疾患までを受け入れ、コロナ蔓延以降も手術症例が増加し続けています。特に緊急手術は原則、若手医師が執刀しますのでこれを支える若い外科医師を心より歓迎します!当院の手術のボリュームに関しては満足いただけるものと自負しています。
募集の概要
当院では2025年度募集に関しては5名の外科専門研修枠を設けております。うち4名は、当院で実施しているAプログラム=外科重点初期研修を終え、「5年一貫研修」の3年目として持ち上がってくる研修医の皆さんです。この中には初期研修中に他の診療科への進路を希望し、初期研修2年にて当院での研修を修了する医師がいますので、学年にもよりますが、3年次からの募集は1名に限られるわけではありません。初期研修のマッチングの時点で外科志望を決めきれなかった方、また、他診療科から外科診療科に志望変更をお考えの方、救急科の医師で外科専門医の資格を得たい方も当院での外科研修をご一考ください。
研修のプログラム
外科専門医受験の資格となる、術者要件120件は十分クリアされます。3年次から5年次の研修医の執刀数は消化器外科領域だけで平均で171件(2023年)であり、ボリュームとしては十分であると自負しております。以下の表のように3ヶ月を1タームとして12タームの研修プログラムをローテーションすることになります。これには、当院での消化器外科、心臓血管外科、呼吸器外科、乳腺内分泌外科の研修のほか外部病院(連携施設)での小児外科(埼玉県立小児医療センター)、救急科(都立墨東病院)合わせて1ターム、宮崎県の古賀総合病院消化器外科での1タームが含まれます。
ローテートの一例
後期専門研修1年次 | |||
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基幹施設 | |||
心臓血管 | 乳腺内分泌 | 消化器一般 | |
後期専門研修2年次 | |||
基幹施設 | 連携施設 | 基幹施設 | |
消化器一般 | 呼吸器 | 小児外科・救急救命 | 消化器一般 |
後期専門研修3年次 | |||
連携施設 | 基幹施設 | ||
消化器一般 | 消化器一般 | 選択 |
今回、外科専門研修を3年次から志望されるみなさんは、初期研修から生え抜いた同期の3年次医師とともに外科研修をすることとなります。彼・彼女らは2年次までにすでに腹腔鏡下虫垂切除、鼠径切開法による鼠径ヘルニア根治術をそれぞれを10-20件、さらには腹腔鏡下胆嚢摘出を3-5件、術者で実施しています。もし皆さんのこれまでの研修での実施手術数とのギャップがあるならば、まずは最初の6ヶ月の消化器外科研修でそこをしっかり強化します。
12タームの研修先の比率はサブスペシャリティー、つまり外科診療科の中でも消化器なのか心臓血管なのか、といった各専門領域の志望によって変更できます。消化器外科は一般外科(ヘルニアほか)を含み、手術の対象が広いことから、最短で4タームとしますが、他のサブスペシャリティーの研修期間は最短1ターム、調整が可能である場合はこれを4タームまで増やすことが可能です。例えば、呼吸器外科志望であることを3年次または4年次に表明すれば、呼吸器4、消化器4、心臓血管外科1、乳腺内分泌1、小児・救急外部病院1、古賀病院1といった形でのローテーションとすることができます。
研修の実績
近年の手術実績については各診療科のホームページをご参照ください
- 消化器外科:https://www.mitsuihosp.or.jp/division/department/digestive-s/
- 心臓血管外科:https://www.mitsuihosp.or.jp/division/department/cardiovascular/
- 呼吸器外科:https://www.mitsuihosp.or.jp/division/department/respiratory-s/
- 乳腺内分泌外科:https://www.mitsuihosp.or.jp/division/department/mammary/
Academic activity
3年間の研修期間中に日本臨床外科学会を中心に2-6本の学会発表を行います。論文は和文のもの2本を投稿受理されることが目標です。
なお、英語論文を指導する体制は整っていますので、ぜひチャレンジしてください。
2021-2024年 外科研修医筆頭著者の論文
- 先名 康喜ほか
胸腔鏡・腹腔鏡併用手術を行った特発性食道破裂の1例
日本臨床外科学会雑誌 2024年8月号掲載予定 - 大門 光寛ほか
前外側大腿皮弁で腹壁再建を行った進行S状結腸癌の一例
日本臨床外科学会雑誌 83巻6号: Page761-766, (2024.06) - 中溝 雅也ほか
透析用カフ型カテーテル挿入後に右鎖骨下動脈損傷,右血胸を呈し血管内治療を施行した1例
日本血管外科学会雑誌(0918-6778)33巻1号 Page31-35(2024.) - 関 健太ほか
甲状腺穿刺吸引細胞診後の咽頭後間隙から後縦隔に至る血腫に起因する呼吸困難に対して緊急手術を要した1例
日本内分泌外科学会雑誌(2434-6535)39巻2号 Page145-150(2022.06) - 中居 伴充ほか
術後16年目に発見された腎細胞癌小腸転移の1例
日本臨床外科学会雑誌(1345-2843)82巻1号 Page108-114(2021.01)
レクリエーション
バスケットボール、テニス、フットサルの同好会があります。コロナ蔓延後しばらく実施できていませんが、野球大会や釣り大会なども実施または実施予定です。
進路
5年次の終了後にはフェローシップとしてチーフレジデントとして各サブスペシャリティー、一人ずつの医師を迎え入れています。6年次から8年次まで2年ないし3年の期間でより高難度な手術にチャレンジしつつ、レジデントの業務の振り分けや手術枠の調整といった中間管理職的な役割があります。この期間中に各サブスペシャリティーの専門医の資格にチャレンジすることも可能です。
チーフレジデントを希望しない場合は、以後の進路は自身で決めることとなります。これまででは近隣の大学院を受験し、その教室に入局するほか、国立がんセンター、国立循環器病センターなどの専門施設のレジデント、または地方を含めた一般病院の外科にて修練を続けるなどの進路があります。